チェアワークってなんだろう
アレクサンダーテクニークの代表的(伝統的)なレッスンの一つであるチェアワークとは、生徒さんが教師のハンズオンを受けながら、椅子から立ったり座ったりする、というものなのですが、
チェアワークの目的は、アレクサンダーテクニークにおいての正しい立ち方、座り方を身につける、というようなものではなく、
頻繁に行う日常動作での習慣的な反応、いわゆる無意識のクセに気がついていくこと、
そして、いつでも可能性がある心身バランス(プライマリーコントロール)でいられるようになるための練習、だといえます。
私がティーチャートレーニングを受けていた頃、アレクサンダーテクニークはアクティビティ(今の課題や興味ある事柄)に取り組むことで、学びが深まるのだと教わったのですが、1年以上チェアワークの練習を続けてみて、今はそんなこともないな、と思っています。
なぜなら、生命体として生きているかぎり、今この瞬間は、痛みなく心地よくありたい(well being)、という強い願い(本能)があるはずで、
それはアレクサンダーテクニークで言うところの初源的調整作用(プライマリーコントロール)が上手く機能している状態、とも言えます。
プライマリーコントロールのためにできることの一つが、ヨガでは瞑想であるように、アレクサンダーテクニークではチェアワークなのだと考えます。
チェアワークでは、ワークを受ける人に触れて動きを誘導していきますが、手のひらはとにかく感度がいいセンサーなので、自分の反応と相手の反応を同時に繊細にキャッチすればするほど、たくさんの反応を抑制(インヒビション)する必要があります。
プライマリーコントロールがリズムを保って自分と共にあり続けることで、インヒビションが可能になりますが、それは文章を読んで頭で意味を理解したらできる、というようなものではありません。
実際に起こる反応に気づく→それを認める→体で起こる反応が変わる→体のバランスが変わる→少しずつ腑に落ちていく、この繰り返しを実践していくしかありません。
アレクサンダーテクニークレッスンにおいて、ハンズオンの重要性や優先順位は、教師の考え方や生徒さんの状況によっても変わりますが、一般的に、オンラインより対面の方が気づきが早かったり多かったりするように、そこにハンズオンが加わると、さらに気づきが早く起きたり、増していく場合が多いです。
手のひらから伝わって起こる様々な反応に、混乱しないで対応できるようになるためにも、早いうちからチェアワークの経験を積んでいくことをおすすめします。