アレクサンダーテクニークを科学する② 姿勢を維持するシステムとは
姿勢とは何か
前の投稿で、私たちが日常的に口にしている「姿勢」という言葉には「運動」と「バランス」の意味も含まれることがあり、3つの言葉を混同して使っていることがあるとお話しました。
科学的に「姿勢」とは、体の各部分の相対的な位置関係が持続されていることを指します。
それでは姿勢を維持する、即ち体節の相対的な位置関係を持続するために必要となるシステムとは、どういうものなのでしょうか。
姿勢の維持とは
椅子に座ってパソコンに向かっているときに、姿勢をどう維持しているのかを例に考えてみましょう。
行動は室内にあるデスクのパソコンに向っているだけだとしても、室内はもちろん、室外からも五感を通して様々な情報が脳に伝わっています。
例えば、
- 窓から光が差し込んで、天気がいいこと
- 窓の外では洗濯物が風に揺れていて、差し込む光も揺らめいていること
- 近くで行われている工事の音が聞こえ、たまに振動も伝わること
- 足先が冷えてきたと感じること など
このように、私たちの周りには色々な刺激が存在します。
そして、それらの刺激を受け取る度に、刺激に対応するための指令が脳から体の各部分に伝わり、それらに対応しながら姿勢を保っています。
足先が冷たいと感じたなら、無意識に足先をヒーターに向けることもあるでしょう。
そうしたちょっとした動作に応じて姿勢も変化します。
姿勢を維持することとは、色々な刺激を受け取り、それに見合った対応を体が行い続けることなのです。
筋肉による調整のシステム
また、地球には重力が働いています。
姿勢を維持するには、姿勢に対する重力のかかり方が緩やかに変化を続けることが重要で、そのために目に見えない繊細な部分での筋肉による活発な調整が必要になります。
この筋肉による調整は意識して行うというより、体が勝手に実行してくれるものです。
YOGA BASE LABのあつこが学んだアレクサンダーテクニークのスクールでは、このような不随意の筋肉の調整を「姿勢サポートシステム(コーディネーション、協調性)」と呼んでいます。
アレクサンダーテクニークは姿勢サポートシステムを機能させる
アレクサンダーテクニークでは、この姿勢サポートシステムをうまく機能させるために、自分の体のことを探求します。
椅子に座ってパソコンのキーボードを打つ姿勢を保つのに、体のどこにある筋肉をどのように収縮させているのかといったことを観察し、必要以上に固めているところがあるのかを見極めるのです。
もし、太ももやお尻、下腹部、腰、胸郭、首の後ろといった体のどこかに強ばっているところがあれば、姿勢サポートシステムがうまく働かなくなり、姿勢を保つのが難しくなってしまいます。
それでも、強張ったまま無理に維持しようとするので、「長時間座っていると腰が痛い」といった問題につながるのです。
まとめ
姿勢を維持する際に使われる筋肉は、モノを持ち上げたりするときのように、働いていることが見た目にわかるようなものではありません。
はっきりとは見えないけれど、いつの間にか確かに力が入ってしまっていたという経験は誰もがしていると思います。
そのような繊細なレベルでの調整を意識的に行えれば、私たちはいつでも効率的に体が使えるようになるでしょう。
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